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ひろげるひと |

平和活動家 スティーブン・リーパー(Steven Leeper)さん
次の問題解決のためには 戦争文化でなく平和文化を 【前編】

スティーブン・リーパーさん

1947年、米国イリノイ州生まれ。1984年来日。1999年に世界平和活動家協会を設立し、核兵器廃絶に向けた活動に取り組む。2007年に広島平和文化センター8代目の理事長に就任。全米113都市で原爆巡回展を開催。2015年に広島県三次市甲奴町に平和教育の場「Peace Culture Village(ピースカルチャービレッジ)」を設立。

外国人初の広島平和文化センターの理事長に就任し、平和活動家として活動してきたスティーブン・リーパー氏。2017年に核兵器禁止条約が採択され、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞、世界的に核兵器廃絶の機運が高まるなか、スティーブン氏はあらためて英語圏に被爆者の訴えを広める活動に取り組んでいます。「戦争文化ではなく平和文化をつくりたい」、スティーブン氏の語る平和文化とは? そのために私たちができることとは?

「ヒバクシャ国際署名」のグローバルキャンペーンコーディネイターとして

僕がいま最も力を入れているのは、「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(通称「ヒバクシャ国際署名」)のグローバルキャンペーンコーディネイターとしての活動です。

そもそも「ヒバクシャ国際署名」とは、2016年に核兵器廃絶を求める被爆者たちの訴えに賛同した人がサインする署名活動です。集めたサインは毎年、国連に提出されています。

署名活動というのは、いくらサインをもらっても、なかなか影響の出ない難しい活動ですが、このキャンペーンが、いわゆる署名活動と違うのは、多くの被爆者が支持しているということです。広島や長崎の被爆者団体はもちろん、日本にある多くの平和団体もサポートしています。

そのうえ国連は、今回初めてインターネットで集めたサインを受け入れています。運営委員会が目標にしている億単位の署名を集められる可能性があるのもインターネットだからです。

また、これが日本被団協による被爆者最後の試みになるだろうことも、この活動を特別なものにしています。現在、被爆者の平均年齢は80歳を超えていますが、どんどん亡くなっています。そうでなくても具合が悪くなったり、入院したりといった人がふえて、実際に動ける被爆者は、ほんとうに少なくなってきています。ですから、これほど大規模な試みができるのは、これが最後だろうといわれています。

2017年7月に核兵器禁止条約が採択され、その12月にICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞しました。そういう意味でも、いまはチャンスです。このチャンスをのがしたら、核兵器廃絶はできないだろうと僕は思っています。

人類が協力して動かないと問題解決は不可能です

核兵器廃絶ができなければ、人類は消えていくと、僕はかなり前から感じています。いま地球には、温暖化や貧富の差など、さまざまな深刻な問題がありますが、これらの問題を解決するには、人類全体の協力が必要です。でも核兵器がある限り、協力はできない。なぜかというと、核兵器は敵対心と利己主義、そして愛のない競争心のかたまりだからです。

自分たちの上には、いつでもどこでも殺せる武器がある……、そういったおそれがわれわれの無意識にはあります。そんなひどい武器からわれわれを守れるのは軍だけじゃないか。いま全世界で軍が強くなってきているのはこういうわけです。

軍は競争して動く戦争文化そのものです。一方、協力して動くのが平和文化。戦争文化ではなく、平和文化にならなければ、次の問題解決は視野に入らないのではないでしょうか。

すべての人に核兵器の問題を意識してほしい

だからこそ、この「ヒバクシャ国際署名」を誰も無視できないようなキャンペーンにしていくことが重要だと僕は考えています。

90年代に対人地雷禁止キャンペーンが起こったときには、ダイアナ妃が対人地雷に関するさまざまな社会活動を行っていました。そのことで、みんなの意識が変わりましたよね。

今回のキャンペーンも、そこまで持っていかなければ意味がありません。そのために僕は、いま世界各国のグローバルキャンペーンコーディネイターをふやしたり、アメリカの団体と協力し資金を集めたりといった活動を積極的に行っているわけです。

億単位のサインを集める。これがこの活動の目的ですが、僕が考えるほんとうの目的は、すべての人たちに核兵器の問題を意識してもらうことです。対人地雷のときのように、この問題を人の意識により深く入れること。

核兵器の問題は、多くの若い人たちには、昔の問題ととらえられているのではないでしょうか。でも、これは現在の問題です。いま世界情勢は大変不安定です。このような時代に世界の力関係が急激に変わったら、どこかの国がストレス解消に戦争を始める可能性が高い。戦争をしたくない人は多いですが、したがる人も多いからです。

後編につづく>

「ヒバクシャ国際署名」

https://hibakusha-appeal.net/

撮影/オザキマサキ 取材・文/池田純子

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