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キッチンみのり主宰 山上公実(Hiromi Yamagami)さん
乾物は地味で滋味。 被災地でも喜ばれました 【第2話】

やまがみ ひろみさん

飲食店勤務を経て、2016年より京都・三条大宮にある築90年の町家で、料理教室「キッチンみのり」をスタート。旬の食材や乾物を使い、おばんざいや薬膳の知恵を取り入れた料理を提案。味噌や梅干しなどの保存食作りも教えている。職人さんを招いての講演会やワークショップも積極的に開催。

「人と人とのご縁が実るように」と、2016年に実家の町家で、料理教室「キッチンみのり」をスタートさせた山上さん。第1話では、教室での様子を語ってくれました。今回の第2話は、料理教室オープンまでの道のりや料理教室を訪れる人たちのお話を披露。乾物愛についても、たっぷりお聞きしました。

原動力は来てくださるかたの あたたかなフィードバック

来てくださるのは、もともと料理好きのかたが多いですが、料理をすることがおっくうだったり、体調が思わしくなかったりというかたも思い切って来てくださいます。何度か足を運んでくださるかたから「キッチンみのりさんに通ううちに、自分で手を動かすようになり、よりいっそう世界が広がって、いまほんとうに楽しいです。感謝しています」というメッセージをいただいたことも。胸が熱くなりましたね。

大好評だった子ども向け「魚の手開き教室」

ふだんは大人向けの教室を開いていますが、何度か子ども向けの料理教室も開いてきました。思い出に残っているのは「魚の手開き教室」。

この教室に参加した子のほとんどが、最初は「お魚、嫌い!」「ぬるぬるして気持ち悪い!」と嫌がっていました。でもお母さんといっしょに何尾も手開きするうちに、器用に扱えるようになっていくんです。そして、そのさばいた魚で料理をして食べると「魚、めっちゃおいしい!」「大好き!」と、あちこちから大歓声。「家でもお父さんに、手開きの仕方を教えていました」と、参加されたお母さんからは感謝のメッセージをいただきました。自分が手をかければ、それだけ愛情もわくしおいしい。そのことを、私も目の当たりにさせていただいています。

また「ここ最近ずっと口をきかなかった子どもを誘って、教えていただいた料理をいっしょに作ったら、『おいしい!』と言ってきて、それ以来、会話が戻りました」というエピソードを教えてくださったかたも。こういうフィードバックをいただくことも、とても励みになります。

好きを仕事に。自然な流れで料理の世界へ

料理を仕事にするきっかけになったのは、十数年前、友人から「知り合いが飲食店を開店するから働いてみない?」と誘われたこと。前職は料理とは関係ない仕事でしたが、料理が好きで、レシピ作りを依頼されたり、休日は料理教室に通ったりしていたので、じわじわと自分の中で「好きを仕事にしたい」という思いは高まっていました。前職を辞めて、しばらくしてからのことでした。

実家は鮮魚や乾物を売る店なので、小さなころから食材に囲まれているし、もともと商売人の家系なので人と接することも好き。私の環境は料理を作ったり接客したりすることと、さほどかけ離れていないんだ、と気づいたときには、料理の道に進むことは、とても自然なことのように思えました。

飲食店では、調理師免許を取り、だんだんとレシピ作りや料理も任されるようになっていき、順調に働いていましたが、お店の都合により閉店することに。しばらくは次の仕事のことを考えながらも、変化していく自分の体にも目を向け、以前から興味があった薬膳の学校にも通い始めました。

そのうち身近な人たちから「料理を教えてほしい」と頼まれることがふえて、実家で少人数制の料理教室をスタートさせました。リクエストが多かったのは乾物料理。働いていた飲食店でも、乾物をよく使っていましたが、私の乾物好きは、私のルーツが乾物屋だからでしょうか。実家の店も、もともと祖父が始めた乾物屋を受け継いだものです。

後列右端が祖父。若いころは、京都の大きな乾物屋さんに奉公に出ていました。

実家での料理教室は、なかなか好評でしたが、もう少し大きな規模で、たとえばカフェを借りて、乾物に特化した会も一度やってみたい、とアイデアを友人に話したら「面白いから、シリーズでやってみよう!」とプロデュースしてくれました。結局、1年にわたって行いました。

さらに教室で行ったことが、のちに新聞の連載に。月に一度、「切り干し大根」や「高野豆腐」など、毎回テ-マを変えて1年間つづきました。その後も、不定期に「乾物は、こんな使い方もある」というようなことを、みなさんに記事でお伝えしてきました。

乾物は水でもどすだけだから簡単だし、腐りにくいのでフードロスも少ない。地味に見えますが、乾物を使った料理の味は濃厚でふくよか。乾物は、まさに滋味あふれる食材なんです。

東日本大震災が起こったとき、被災地に干ししいたけや乾燥わかめなどを詰めた“乾物ボックス”を送ろうと思いついたのも、ふつうの生活や食事ができない環境では、食物繊維やミネラルが不足するから。乾物は食物繊維やミネラルが豊富だし、お湯やスープにひたすだけで食べられて、保存もきく。受け取ったかたからは「こういうものが食べたかった」と、とても喜ばれました。

第3話につづく >

「キッチンみのり」の詳細はウェブサイトでチェック!

http://kitchen-minori.com

撮影/石川奈都子 取材・文/小野貴美子

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